「zzz」 ――――折角の客人ですもの、ちゃんとおもてなししなさいね なんて言われたけど、どうしたらいいのやら・・・ 「zzzzzz」 だって、こんなにも・・・ 「zzzzzzzzz」 こんなにも爆睡してるんだもの。 ・・・頭が痛くなるまで悩んだけど 「zzz」 結局いい方法が見つからない。 「zzzzzz」 いっそのこと、起こしてしまおうか・・・ 「zzzzzzzzz」 ・・・ダメダメ、そんなことして気分損ねちゃったら大変だし・・・ うーん・・・こ、こうなったら --------------------------------------------------------------------- ・・・あ、ありのまま 今起こった事を話すぜ! 「・・・えーと、あの、妖夢さん?」 「ひぅっ!?」 白玉楼で花見してるうちに寝てしまったと思ったら 「こ、これは一体全体どういう事なんでしょうか?」 「えーと、そ、それはですね」 いつの間にか膝枕されていた 「えーっと・・・とりあえず起き」 「すとーっぷ!」 な、何を言ってるのかわからねーと思うが俺にも何が起きたのか分からなかった・・・ 「え、ちょ」 「とりあえず、じっとしててください!」 催眠術だとか超スピードだとかそんなちゃちなもんじゃあ断じて無い 「わ、分かりました」 「・・・///」 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・・・・ ・・・でもこれって結構得なんじゃないか? こんなかわいい子に膝枕されてるなんて夢にも思わなかったし。 「・・・えっと、何が一体どうなってこうなったんですか」 「そ、それはですね」 何か口ごもってるがとりあえず聴き出しておかないと・・・ 「えっと、ゆ、幽々子様に・・・おもてなしをしなさいと命じられまして」 「はぁ」 おもてなしとは・・・好き勝手ここに入ってった身なのに律儀だとは思うが・・・ 「それで・・・その、何をすればいいか悩んでまして」 「行きついた先が・・・膝枕?」 「うぅ・・・随分と気持ちよさそうに寝てらっしゃるものですから・・・その・・・つい・・・」 ・・・すごい発想力だ。何かに活かせないものか。 「そういえば」 「な、なんでしょうか」 「妖夢さんって・・・確か旦那さんが」 「っ!?」 明らかに体がビクッと反応している。これはちょっと面白い事になりそうだ・・・ 「で・・・その旦那さんにも膝枕とかしてあげてるんですか?」 「わあああああああああ!」 妖夢さんが急に飛び上がってしまった。 ・・・お陰で俺も吹っ飛ばされてしまった。 「な、なななななな何を言ってるんですか!!」 「ってて・・・いや、こういうことは旦那さんにもしてるのかなぁと思って」 「そ、そんな事出来るわけないじゃないですか!」 へぇ、旦那さんにもしてないのか。それじゃあ初膝枕? 「ふむ、旦那さんにもした事のない膝枕をどこの馬の骨とも分からないような男にしたと」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 さっきまで真赤だった妖夢さんの頭から『ボンッ』と爆発音がしたと思ったら気絶してしまったようだ。 そこまで恥ずかしいならしなけりゃよかったのに・・・ ・・・さて 「・・・」 さっきまでされてた事を自分がするとは思わなかったわけで。 気絶させちゃったお詫び・・・とは言わないけど。 「あらあら、妖夢ったら」 「ああ、どうも。割と勝手に上がらせてもらってるのにおもてなしまでしてもらってすいません」 「いえいえ、大した事も出来なくて」 大した事・・・ね。 俺にとっては十分過ぎるんですが。 「ところで、妖夢はどうして気を失ってるのかしら?」 「からかってたら気絶しちゃいまして」 「あらあら・・・妖夢ったらまだ未熟なのねぇ」 ・・・半分自滅みたいなもんだと思いますがね。 「・・・そろそろ時間なんで帰ろうと思ったんですがこれじゃあちょっと」 「ふふ、いいわよ。ちょっと借りるわね」 「いや、借りるも何も」 「分かってるわよ。・・・よいしょっと」 「ああ、すいません・・・実はちょっと足が痺れてつらかったんですよ。慣れないことはするもんじゃないですね」 「後は任せてちょうだい。またいつでも来てね」 「ありがとうございます。ではまた」 ―――その後目が覚めた妖夢が幽々子に膝枕されてる事に気付いてまた気を失うのは別の話、ということで