トントン 「ん?」 その日、眠っていた左京は扉をたたく音で目をさました。 しかし、ノック音は一度しか聞こえず 左京は何かが風で当たったのではないかと思ったが それにしては、屋外から風の音がするわけもなく せいぜい小鳥のさえずりがわずかにきこえてくるだけであった。 「幻聴かな・・・?」 首をかしげながらも、念のためにと布団からぬけだすと 扉へと向かい、 「誰でしょうか?」 扉の向こうに声をかけてみるが反応が返ってくるわけもなく。 左京は恐る恐る、扉を少しあけ外の様子をうかがうが 「誰もいない・・・・・・」 反応がなかったことから考えれば、当たり前のことだった。 しかし、それでは目を覚ますきっかけとなったノック音が説明することができず 首をかしげることができず、もう一回眠って忘れようかと扉を閉めかけたところで 「・・・・・・あれ?」 扉の脇に布のかぶった何かがあることにきずいた。 「誰かの届け物?」 左京は多少の疑問をうかべながらもそれを気にすることなく、部屋の中へと持ち込むと テーブルの上におき、布をとりさり、中身を見た瞬間わが目を疑った。 「・・・・・・」 ごしごし ごしごし ごしごし ごしごし ごしごし ごしごし 「・・・・・・」 ギュー 「・・・・・・痛い」 さんざん目の前にあるものが目の錯覚でないか、夢の中の出来事でないかと試した結果 現実であると、理解した左京は次の瞬間 「・・・・・・ぐは(吐血」 吐血とともに倒れた。 そして、お昼が過ぎたころ。 「左京ー、遊びに着てあげたわよー!」 元気な声とともに、天子は扉のそばから中に声をかけた。 いつもなら、この声で左京が扉を開けてくれるのだが一向に目の前の扉が開く気配は無く 左京が留守であるかのように感じられた。 「左京ー?」 天子が来るときはほぼ確実にいるはずの左京が出てこないことにもう一度声をかけてみるが 扉が開くことはなく。 ためしに、扉に手をかけると扉は何の抵抗も無く。 「開いてる・・・・・・」 ゆっくりと開かれていく扉に無用心だなーとかすかに思いながらも 左京の部屋の中で左京が戻ってくるのを待って、彼がかえってきたらいっぱい文句を言ってやろうと考えた 天子は笑みをこぼすと、そのまま部屋の中へと入っていき 「え?」 テーブルのそばで、血を吐いて倒れている左京の姿を目の当たりにした。 「さ・・・きょ・・・う?」 はじめ目の前の光景を信じることのできなかった。いや、信じることを拒否していた。 だが、それで目の前の状況が変わるわけもなく、本当のことだと理解したとき 天子は左京の元へとかけだし、状態もろくに確かめようとしないでゆさぶりだした 「左京!!左京!!」 実際のところ、左京は気絶しているだけで何の外傷もないし、健康そのものといえるのだが 我を失っている天子がそのことに気づくわけもなく ただ、目に涙を浮かべながら左京の体を揺さぶるだけであった。 「左京・・・!!左京・・・!!」 「・・・う・・・」 「左京!!」 「・・・て・・・ん・・・し・・・?」 「あ・・・左京・・・。左京!!」 「え?天子ちょ・・・くるしい・・・」 目を覚ました左京に、天子はたまっていた涙をながしながら抱きついた。 一方、抱きつかれた左京は現状を理解しておらず、ただ困惑するだけであったが 「あれ?天子泣いてる?」 「うるさい!!左京は黙って私に抱きつかれてればいいの!!」 「で、でも・・・」 「うるさいうるさいうるさい!!」 そのまま天子に押し切られる形で、左京はじっとしていたが やがて満足したのか、落ち着いたのか。天子は左京から体をはなすと左京が口を開く間もなく 「さ、左京が悪いんだからね。だ、誰だって、血を流して倒れているのを見たら心配になるんだから!」 早口でそれだけいうと、ぷいっと顔を背けてしまった。 その姿に、左京はかわいらしさと愛しさを感じていたが、その先で天子が何かに気づいたように 左京のそばのテーブルに手を伸ばしそこにあった何かをてにとった。 「これって・・・・・・」 その中身をみた瞬間、 「ひっ!?」 天子の顔が真っ赤になったかと思えば、その次の瞬間にはその体からはなにやら真っ赤な不吉なオーラが漂い始めていた。 「ねぇ・・・左京・・・」 「は、はい!」 「こんなものを誰かに描かせたのかな?」 「え・・・何の・・・」 「そう・・・しらきるのね・・・」 疑問に思う、左京に天子はゆっくとスペルカードをとりだすと 「さ・・・」 「ちょ・・・ま・・・」 「左京の馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 【全人類の緋想天】 「っーーーーーーー」 左京は大穴をあけて飛んでいってしまい。 「はぁ・・・はぁ・・・」 天子は天子で息を切らしていたが、やがて落ち着いたのか 左京を吹っ飛ばしてしまったことに罪悪感を感じ始めていたが 「左京が悪いんだからね・・・・・・  こんなものを・・・・・・  ・・・・・・  ・・・・・・  さ、左京が持っててもしかたがないんだし、私が没収してけばいいよね」 言い訳のように、だけど、どこかうれしそうにその原因となったものを手に取ると 天子は左京のことを放置して天界へと戻っていった。 一方の左京はあそびにきた冬月が発見するまで黒焦げの姿のまま放置されていたそうな。