幻想郷の一角、人も来ない静かな鈴蘭畑。 人を寄せ付けないここを活動の拠点とする1人の妖怪がいた。 名前を、メディスン・メランコリー。 よくよく見ると、彼女はそわそわとしていた。 「スーさん、スーさん、今日だったよね?」 少し上ずった声でそう聞くメディ。 それに答える声はないが、彼女はずっと、ある方向を見ていた。 「あっ!」 遠くに影が見えると、メディはそちらのほうに、早足で歩き始める。 満面の笑みを浮かべながら、いかにも待ちきれないというように。 「ジルー!」 「やあ、メディ、元気にしてた?」 そのまま、メディは勢いのままに抱きつき、ジル…すなわちジルコニアは予想していたかのようにそれを受け止めた。 「どうやら、元気だったみたいだね」 「うん!あ、でも」 そこで少し口ごもり、メディは 「最近ジルこなかったから、ちょっと寂しかった」 上目使いで言うメディの頭を、ジルは微笑みながら、優しく撫でた。 「さて、今日はなにをしようか?」 「えっとね、また、外のことを話してほしいな」 少し大きな岩の上に隣同士に座って、話始めるそのとき。 メディがおずおずと、切り出した 「えと、あのね…」 「ひざの上、座っていい?」 そんな、可愛いお願いにジルコニアは 「どうぞ」 微笑んで腿を叩く。 「うん!ありがとう!」 ぴょこん、とそこに座るメディ。 「あと、それから…ね」 顔をジルコンに向けるメディ 今度はなんだろうな、そう思った所に 「ジル、大好き!」 そのまま顔を上げて頬に口付けるメディ、不意打ちに少し、顔を赤くしたジルコニア。 穏やかに流れる時の中、ジルコニアは話し始めるのであった。