こんこん すきまの私室の扉を叩く音がした ここ半月ほど、屋敷の外で忙しく仕事をしていたすきまの、久々のまとまったプライベートタイム。 そこに来る様な人物は…トラブルを持ち込んでくるときの神綺か、ユキマイをつれてきた遊びに来たはくどうか。 だが、今回は違うことを、すきまは長年の付き合いから察していた。 「どうぞ、入っていいよ」 外を確認もせずに答えるすきま、そして姿を現したのは… 「じゃあ、失礼するわね」 想像通りの人物…同僚である夢子だった。 夢子は紅茶の入ったポットにちょっとしたお茶菓子、そして同じ形の2つのカップをお盆に載せ、そのままテーブルへと向かう。 すきまもなれたもので、簡単にテーブルを片付ける、そこに、お盆が載せられた。 こうして、お茶を飲むのも久しぶりのことだ 「まずは、仕事お疲れ様、大変だったでしょう?」 紅茶を入れて、それが半分くらいになるころ。 夢子がそう、話し始めた 「なんか問題が起こったって出て行って、まさか半月もかかるとはおもわなかったな」 少し苦笑しながら答えるすきま。 「ま、深刻な事態じゃないだけ、平和だってことなんだろうがね」 「まあ、そうだろうけど…困ったものね」 困った顔になる夢子に 「ある程度は仕方ないさ、できればないといいとはおもうけどな」 少しあきらめ顔でこたえるすきま 「そうなんだけどね…」 夢子は少しため息をつきぽつり、という 「あんまりこんなことが多いと、会えないじゃないですか…」 本人は、聞こえないように言ったつもりなのだろう。 しかし、溜まった気持ちのせいか、心で伝えたかったのか それはすきまに届いてしまった。 彼もまた、それを逃すような男ではなく… 「ゆーめこっ」 後ろから抱きついた。 「ひゃっ! い、いきなり何するんですか!」 あせった口調で、夢子が問いかけると、すきまは悪戯っぽく 「いや、夢子がさびしそうだったから」 「だからっていきなりはないでしょう!」 「ほんとに?」 そういって夢子から離れるすきま。 「あ…」 つい、名残惜しそうにしてしまう夢子、やはり、すきまはそれを見逃さなかった 「やっぱり、さびしいんじゃないか」 そういうと、優しい表情で、正面からじっと見つめる。 「そ、そんなことは…」 「もともとお姉さんだったんだし、いまも屋敷を仕切る立場だから気を張るのはわかる。でもさ、たまには甘えていいんじゃないか?」 ちょっとだけ、目を逸らして言う 「少なくとも、俺は頼られるとうれしいけど」 「…」 しばらく、沈黙が続く そして、おずおずと、夢子がすきまに抱きつく。 「さびしかったん、です」 「突然出て行って、連絡もなくて」 「神綺様が新たに子をなされたときのように、少し、遠くなってしまうのかな、と…」 そう、言葉を紡いだ夢子を、すきまはやさしく、引き寄せた 「なら、代わりにはならないかもしれないけど、俺に甘えてくれればいいさ」 「夢子の気が済むまで、な」 「そんな夢子も、好きだから」 夢子からはその表情は見えなかったが、引き寄せられて感じる鼓動、それが、どんな表情か、語ってくれた。 夢子が、離れる 「そう、ですね…少し、恥ずかしいところを見せました」 そういって、顔をほころばせ 「お茶の続きにしましょうか?」 「ああ、そうだな」 ふたたび始まるお茶会。 だが、そこには、先ほどよりも少し、暖かい空気が流れている、そんな気がした。 あとがき よく、少なくとも怪綺ボスの中では一番お姉さんにかかれる夢子。 でも逆に、それは「幼少期に甘える機会がすくなかった」のかなあ、と 怪綺で神綺の指示に嬉々として従ったり、最後にすがり付いてたり、結構甘えたいところがあるかな、と そんなこと考えて作りました(勝手に) そうしたならにこの別人、な気がががが