「はーるでーすよ!」 今日は春分。春の訪れに元気なリリーは玄関を開けて! 玄関を開けると、そこは雪国だった。 「さささ、寒いのですよ…」 もぞもぞとコタツに戻ってくるリリーホワイト。 「暦の上では春だけど、1年でもまだまだ寒い時期だからねえ…」 みかんの皮を剥きながらいったのはこの家の主、りるるだった。 「で、でも春を伝えないといけないのですよ…」 しゅん、とするリリー。 「いつも伝えにくるときも、もう少し後だと思うけど、何か理由でもあるの?」 「だって、春になって、暖かくなったら、りるるさんともっと、遊べるんですよ?」 さも当たり前かのようにきょとん、として答えるリリーホワイト 「えーっと、そ、そうかー」 堂々とした答えに少し、しどろもどろになるりるる。 「えーと、うん、でも今はもう少しぬくぬくしようよ」 「春になるのはうれしいけどさ、リリー、忙しくなって一緒にいられる時間、減っちゃうじゃない?」 少しの、沈黙の後 リリーがもぞもぞと、りるるの横にもぐりこんでくる 「…そうですね、もう少しだけ」 そして、そのまま、抱きついた 「こうして、あったかくしていたいのですよー」 この家は、一足先に春のようである。