「ん…」 「すきま!」 目に写ったのは見知らぬわけでもない天井。 耳に聞こえたのは驚きと安堵が混ざったような聞きなれた声。 「あー…そうか、負けたんだっけ」 しばらくぼっとしていたすきまだったが程なく現状を理解したようだ。 「やっぱり夢子には勝てないなあ」 あははと笑うすきま。 だが、そんなすきまに夢子は言った。 「すきま、躊躇ったでしょう?」 「いやいや、そんなことは…「うそね」ないって…」 笑いながら否定するすきまに割り込んで、夢子はきっぱりと答える 「あの一瞬、体勢的にもそのまま突けばあなたの勝ちだったわね、そして、あなたはそれをしなかった」 「わざと、切りに言ったわね?」 じっとすきまを見つめる夢子。 「降参。そのとおり、あの時切りにいったさ、突きをやめてね」 「…なぜ?」 「いや、刃を落としてるとはいってもさ、突きだと怪我させる危険が大きいからね〜」 「…はあ、これじゃ出来レースじゃないの…」 ため息をつく夢子と笑ってみているすきま。 「夢子が無事ならそれでいいさ」 「…よく恥ずかしいこといえるわね…」 ある意味すごいことを言うすきまに少し赤くなりながら呆れて聞く夢子。 ふと、夢子が悪戯を思いついたような顔になる。 「じゃあ、真の優勝者さんにはご褒美をあげようかしら」 「ん!?」 何か言おうとしたすきまの唇は、夢子の唇によってふさがれた。 そのままどれくらいの時間が経過したのか、夢子がすきまから離れる 「ふふ、どうでした、商品は」 「え、えっと、だな…」 してやったり、な顔の夢子に困惑しているすきま。 どちらも顔は真っ赤ではあったりする。 そのとき、ミシ、ミシ、と音が鳴リ… ドターン! 「あやややや…見つかってしまいましたか」 「大丈夫、決定的瞬間は抑えたから」 「まったく、だからあんまり押すなって…」 「夢子ちゃんもすきまちゃんもすごいわね〜」 そこにいたのは… 幻想郷の新聞記者文。 ドキュメンタリー製作者やみなべ。 魔界の神2人、たけみかづちと神綺。 やみなべを追ってきたのかそこにいたカナや小傘、 興味津々でのぞいていたユキとマイなどもいたが、危険度としては比較にならない 「これは、次の1面のいいネタが出来ました!」 「うんうん、バッチリ、収めたからね〜」 「で、結婚式はいつなんだ?」 「若いっていいわね〜」 そして、洒落にならないことを言う4人。 「お前ら〜…何をしてるんだー!」 「逃がしませんよ!」 「「「「にげろーっ!!」」」」 追いかけるすきまと夢子に蜘蛛の子を散らすように逃げる4人。 それが結局いつものような光景なのは、平和の証なのだろう 「折角、パーティを楽しみに来たのになあ…」 「あの人はこういうことに目がないから仕方ないのさ」 「マイ、そろそろもどろ?」 「うん、こんなところ見られるとは思わなかった…」 残されてしまった面々も、とりあえず会場に戻るようだ。 しばらく、会場の端々で怒号と逃げるものの笑い声、弾幕などがあったが… それくらいあってこそ、なのか。 それくらい気にするものもあまりなく、パーティの酒の肴になっていたのであった。 「楽しかったですわ、また今度はこちらがお呼びしますね」 「聖ちゃんも、しっかりね〜」 楽しい時間もいつかは終わるもの。 パーティも終わりの時間を迎え、幻想郷からのお客様は帰る時間となった。 村紗を見ると少し酔っ払っているようだが…この船は基本自動操縦。 実はほぼ問題がなかったりする。それに幻想郷に飲酒運転取締りなどというものはない。 「では、またお会いしましょう」 「じゃあね〜」 そういうと、船は幻想郷に舳先を向け、飛んで行くのであった。 「ふう、一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったな」 「でしょ〜、またやりましょうよ〜」 「今度はちゃんと事前に相談しろよ!」 それを見送る神2人。 「くっ、結局捕まえられなかったか…」 「…」 主である神2人を本気で捕まえるわけにもあまりいかず、 そして逃げることのうまい文とやみなべには追いつけず、結局捕まえられなかった従者2人。 「片づけしたら、僕たちも帰ることにしましょうか」 「そうね、明日になってしまいそうだけど」 「じゃあ、ユキとマイも、手伝ってくれるかな?」 「「うん!」」 幻想郷からの2人と魔導技師と白と黒の魔法使いの義兄妹。 いろいろありながらも、彼らの起こした今回のパーティは、それなりに成功はしたようだ。 もしかしたら魔界と幻想郷の交流も増える、そんなこともあるかもしれない。 ともあれ、さまざまなハプニングを起こしながらも。 魔界での騒動はひとまず、幸せな形で終焉を迎えたのであった。 あとが怖い人も、いるのだが。 「おはよう、アリス」 「おはよう、夢子姉さん」 次の日の朝。どうやら一部の人が目を覚まし始めたようだ。 「昨日は大変だったわね」 「そうね、でも楽しかったのも事実よ。もうちょっと余裕が欲しいけれども」 「そういえば、お母さんたちとか、すきまさんとかは起きていないのかしら?」 「すきまは顔洗いにいってるところね。神綺様たちはもう少し寝ているんじゃないかしら」 「そちらも、永久さんとかあと、確か近くに部屋をとっていたはくどうさんとかはどうしたの?」 「はくどうさんはさっき見かけたわね。すきまさんと同じなんじゃないかしら ユキとマイは寝てるみたいだわ」 「永久も同じ。結構彼、朝は遅いのよね」 たわいもない話をする2人。 「やあ、2人ともおきたのか、おはよう」 「「あ、おはようございます」」 そこにきたのははくどう、その手にはなにやら紙束のようなものを持っているようだ。 「はくどうさん、それは?」 「ああ、ポストに入ってたよ。 新聞みたいだけど」 「新聞…?」 なんか嫌な予感がする夢子。 はくどうから受け取ってそれを見ると… 「魔界パーティ開催! 今まであまり知られてない世界がここに!」 「公開! これが魔界のお屋敷だ!」 「魔界人恋愛事情 魔界の人は情熱的!?」 そんな見出しと共におそらく船から撮ったであろう魔界の風景、 パーティのときの様子の写真。 そして、昨日の夢子とすきまの口づけがバッチリ乗っていた。 「これは、ずいぶんと早いわね…かなり気合入れて作ったのかしら」 「この前来ていたはたてって子の方に新聞の製作自体は頼むつもりだったのかもね。それだと速度はかなり速まるし」 あくまで冷静なアリスとはくどう。 しかし、夢子はそうはいかず、赤くなって硬直していた。 「しかし、これはまたすごいところ撮られちゃったねえ…しばらく噂になるよ、これは」 「姉さん、結構大胆ね…これ位した方がいいのかしら?」 「ん、どうしたんだ?」 件の写真を見て、口々に感想を漏らす2人。 そこにひょい、と横からすきまが覗き込んできた 「あ、すきま、あまり見たい方が…」 はくどうが静止するが時既に遅し。 「な、な、な…」 バッチリ、件のシーンが目に入ってしまった。 「…しばらくは戻らないかしらね…」 「戻った後が大変そうだよ、また」 ふう、とため息をつきつつ、固まってしまった夢子とすきまを見る2人であった。 その後、しばらくそのことでからかわれることになったすきまと夢子なのであった。 幻想郷も、魔界も、いろいろ騒がしいながらも、今日も平和である。 あとがき 折角だし魔界勢で書いてみた。 設定もいろいろ捏造やぁ 魔法の森でも平気〜 ある程度昔から能力があるなら〜と考えた。 あと、職業的に副業がないときついかなあ、と思ったから。 アリスと会わせるのにも都合はいいし メイド狩り メイド狩りの男、すっきーま! 完全に定着させてみた。いい目も見れたしいいよね!(ぉ ネームレスカr 無銘祭祀書とか黒の本っていったほうがとおりがいいかも。 表題すら危険です。 飲み物いろいろ 実在。 ラムネはそのまま、なんちゃってな醤油にペプシマンな会社のところ。 三毛猫 三毛猫は航海安全のお守り。オスの三毛猫は珍しい分その力が強いといわれる。 もっとも本当の猫じゃないから遺伝とかは意味がないが。 三毛なのはナイトメアさんの発言から。 アホ毛そば 不思議なスープ 前者はたけみかづちさんの発言より。 後者は俺の料理。 踊ると天変地異 FF6ラジオより。やってたキャラがモグだったから。 4Bルート バッド練習用。 ただし空想だろうが私にバッドは私には向いていないらしい、黒歴史になりそう。 by永久