「ん? ここは…?」 ナイトメアが目を覚ますと、見えるのは夜空だった 「む、目を覚ましたか」 「あ、藍さん」 上から覗き込むように見ているのは八雲家の式神、八雲藍。 同時に、ナイトメアの思い人でもある。 「あのー、僕はどうして…」 「覚えてないのか? しこたま飲まされたことを」 「えーっと…」 少し痛む頭で、少し前のことを思い返すナイトメア *** 「やー、みんな飲んでるかーい?」 監督勢で少し出かけないか?という催しがあったのだが、 用事などもあり全員が出かけられるわけでもなく… 残った面子でこうして小さな宴会と称して集まっているの、だが 「ほらほらー、もっと飲まないと〜」 宴会好きの子鬼がそれをほおって置くわけもなく、 こうして乱入してきていた。 残っている人たちは比較的とはいえおとなしい人が多く、 飲み方も全体的にはゆっくりであった。 が、それがどうにも気に入らないらしい。 あちらこちらにいってはお酒を勧めていた。 「キャー、やみなべー!」 「ううーん…」 とか 「zzz…」 「子供になってると、つぶれるのも早くなるのねえ」 とか聞こえるが、聞こえなかったことにしよう。 そしてその矛先は、当然のようにナイトメアにも向けられた 「ほらほらー、ナイトメアも飲まないと!」 「い、いえ僕は…」 「そんなこといわずにさあ、いつも飲んでないじゃん?」 「そんなんじゃ、藍とは付き合えないぞ?」 ぴく、とナイトメアが反応する 「藍さんにそんなことは関係ないと思いますが」 「おやおや、自信がないの〜?」 ニヤニヤと見つめてくる萃香。 「あれでも、お酒強いからねえ〜お相手できるくらいじゃないと、まずいんじゃない?」 「う…」 「だからあ、ちょっとだけでも、ね?」 「わ、わかりましたよ…」 「そうこなくっちゃ!」 「ちょっとだけですよ!?」 「大丈夫大丈夫! ちょっとだけ、だから!」 そして当然のように 「鬼基準で」ちょっとを飲まされて…その後の記憶がなかった。 *** 「ああ、そうだ、萃香さんに飲まされて…」 「お前が飲むのは珍しいな…何かあったのか?」 「い、いえ、なんでもないです!」 「?」 「(理由を言えるわけがないっ…!)」 藍とお酒が付き合えるようになるために、というわけにも行かず言葉を濁すナイトメア。 ん? と少しいぶかしげにしながらも、藍はそれ以上の追求はしなかった。 「(あれ、この感触って…)」 今になって気がついたが、頭の下と体に暖かく、もふもふした感触 これは… 「う、うわあああああっ!」 ガバッ! と起き上がる。 そう、ナイトメアの体はふかふかとした藍の尻尾で包まれていたのだ。 「っ、いたたた…」 「突然起き上がったりして…駄目だぞ、かなり飲まされていたようだからな」 ずきり、と響く頭痛。 突然起き上がったナイトメアに、藍はあきれるような、それでいて心配するような声で語った。 「大分、暖かくなったとはいえこの時分は冷えるからな、毛布などもないし、ということでこうさせてもらった」 「迷惑だったか?」 「(ぶんぶんぶんぶん)」 その言葉を全力で否定して…酒の回った頭をふったせいでうずくまるナイトメア 「…まだ帰れそうにはないしな、もう少し、寝ておいたほうがいいのではないか?」 「…ご迷惑でなければ…」 もふん、と藍の尻尾にふたたび包まれるナイトメア 「なに、お前なら構わないさ」 それって、と思いながらも 暖かさと安心感、そしてお酒の力により、ふたたび夢の世界へとおちていくナイトメアだった。 あとがき 未成年にはお酒を飲まさないように、強要も駄目ですよ