あらすじ 早苗さんの話題に上ったクリスマス。 それは伝言ゲームとなって幻想郷を駆け巡り… そして伝言ゲームとして変化し「とりあえず親しい人とパーティとかやる日」と認識されたのだ! 博霊神社 「それで、こういうときはうちでやることになるのね」 ふう、とため息をついて、霊夢。 「人妖集まるにはここがちょうどいいんだぜ」 「そうそう、慕われてるのは悪いことじゃないんじゃん?」 そんな霊夢を魔理沙と萃香がたしなめる。 「そうそう、それにお酒とかはできるだけ持参することって伝えてあるから。その辺はあまり困らないはずだぜ?」 と、フィータ。 「って、あんたいつ来たのよ」 そこにはいないはずの声に突っ込みを入れる霊夢 「お茶の納品なんだがね、ついでに面白そうなことがあったからのぞいてみた、ってわけだ」 「ついでに会場の用意も手伝ってくれるかなー? 報酬は…この鬼秘蔵の酒でどう?」 「悪くないな、じゃ、簡単に始めるとしようか?」 「じゃ、私はもうちょっと人を集めてくるぜ」 もともと手伝う気で来ていたフィータはあっさりそれを了承し、萃香とともに会場予定地に行き… 魔理沙はさらに宴会を大きくすべく、どこへともなく飛んで行った。 「…ま、なるようにしかならないか」 ふう、とまた息をついて、届いたお茶を入れるために霊夢は家の中に姿を隠すのであった。 左京ハウス 「さきょーーーーーーーう!」 ドーン あまり珍しくもない衝突音が響き渡る。 「いったた…天子、どうしたの?」 「どうしたって…あの話は聞いてるでしょ!」 いつになく興奮した様子で、体を乗り出して天子が早口でまくし立てる 「神社でする大宴会のこと!」 「ああ、クリスマス、だっけ。元はちょっと違うって聞いたけど」 「別にそんなことはいいのよ! 大事なのは楽しく宴会が出来そうだってこと!」 バンバンと床をたたきつつ話を続ける天子 「だから! 左京も一緒に行くのよ!」 「また突然だなあ…その理由は?」 思わせぶりに天子に問う左京 「え、だって、えっと、その…と、とにかく一緒に来なさい!」 内心、理由なんて言えるわけないわよ!と思いつつも天子は強引に左京を誘う 「はいはい、で、もって行く物は持ってきたの?」 「そんなものないわ! と、いいたいところだけど前のこともあるし…素直に桃を持ってきたわ」 「あとは僕のほうの果物を持っていけばいいかな?」 「完璧ね! じゃあ、行きましょう!」 「あのー、天子? 1ついいかな?」 「なに!?」 「まだ開始まで8時間くらいはあるけれど…」 「…」 鈴蘭畑 「ジルコン、ジルコン。 なんか今日はあるって聞いたけど?」 身長差のため自然と上目使いになりながらジルコンに問うメディ。 「なんだか神社のほうで宴会やるとかいってたけど…いつものこと?」 ジルコンもやや人里から離れている生活をしているためか、細かいことを知らないらしい。 「クリスマス、よ」 「あ、幽香さん」 そこにふわり、と降り立ったのは花の妖怪、幽香。 「もともとは西洋の宗教祭りだったのだけどね、どうやらここ風にアレンジして、年忘れ大宴会をするみたいね」 ほんと、ここの人はお祭り好きね、とつぶやく幽香。 「あなたたちも言ってみたらどうかしら? 里のほうは難しくても、神社ならば妖怪もたくさん来るはずよ?」 「どうする、メディ?」 じっとメディを見つめるジルコン。 あまり人や妖怪と多くの付き合いを経験していない彼女はこう言った。 「…うん! 皆と話してみたい もっといろんなことを知ってみたい」 「なら、決まりね。 あなた、ちゃんとエスコートしてあげるのよ?」 「え、エスコートって…」 はっきりと決意を答えるメディにやさしく語りかける幽香。 ついでにジルコンをいじることも忘れない。 「そういえば、この催し物は紅白の衣装を着るんだっけ? あの紅白に巫女服でも借りてみればどうかしら?」 「そうなの? なら、ちょっと怖いけど頼んでみようかな…?」 さて、どうなることやら。 彼岸 「よーっし! ヤング! 今日は本気でやるぞー!」 「あたぼうよ! こんなときに頑張らなくてどうするんだ!」 いつもよりもはるかに士気の高いヤングと小町。 事は少し前にさかのぼり… 要するに「宴会行くから休ませてください!」といったところ 「さすがに仕事があるからダメです、ただし、今日の分を済ませられればその後の行動には感知しません」 と、ありがたい返答が来て… 普段なら文句でも言うところかもしれないが、年の瀬の大宴会。 そこにきちんとやるだけのことをすればその後は保証する、との事で… 2人の士気はオーラが見えそうなくらい高まっているのであった。 「ふう…あれでいいのですかね?」 「なーに、それで仕事してくれるならいいだろ」 それを端から見ていたのは幻想郷の閻魔である映姫とディストであった。 「それに、常に張り詰めていてもよくあるまい。あの2人が仕事を終えればこっちの仕事も比較的開くからな」 「つれてくぞ、映姫」 ディストはぐい、と映姫を抱き寄せると、言う 「いつも強引ですね、あなたは」 「そうでもしないとお前は休まない」 「…そうですね、いろいろな人妖に説教をするいい機会です」 「それも必要ないといいたいが…まあ、しかたない」 その会話の傍らで 「よし、死者を確保しに行くよ! 死神として、急いでも仕事の質は落とせないからね!」 「もちろん! 超特急で最高の船仕事をして見せるっ!」 遊ぶ事を念頭に入れつつも、それでも死神としての誇りを忘れない2人なのであった。 ぼめんねハウス 「そんなわけでー、いきましょー」 「えっと、リリー?」 唐突にそんなことをのたまうリリー。 「神社の宴会のことかな?」 とはいえ、付き合いも長く 普段から比較的ぽやぽやしたリリーを相手にしているりるるのこと。 そんな会話からも大体言いたいことを察することができるようになっていた。 「そうですよー、早めに言って準備しましょー」 がちゃ ひゅうううううううう 「はわー! 寒いですー!」 がちゃん ガタガタガタ… 「今は冬もはじめだからねえ…リリーには辛いんじゃないかなあ?」 別にリリーは春でないといけないわけではない、しかしやはり他の季節のほうが力は落ち、本人もあまり得意ではない。 特に気候の異なる夏と冬は苦手なようである。 「うー…どうしましょうかあ…?」 目の端に涙を溜めてりるるを見つめるリリー。 「そうだなあ、なら…」 棚の上からみかんの籠を持ってくるりるる。 「今日は、ここで、2人で過ごそうか? 皆とはいつでも会えるしね」 炬燵の上にとすん、とみかんを置くとぽんぽん、と炬燵布団を叩く 「うー、ごめんなさいですよー…」 自分のせいで宴会に出られないことを謝るリリー 「いいからいいから。また春になったら皆と遊ぼうね」 「はいー」 この空間は、暖かい空気が支配しているのであった。 魔界 「たけちー、この飾りはこっちでいいのかしらー?」 「ああ、そっち…って、あしもとあしもと!」 「えー?」 グラリ、がしゃーん! 脚立に乗って会場の飾り付けをしていた神綺が振り向いた瞬間、転んだ。 「いたーい!」 「まったく、いつもドジなんだからなお前は!」 神綺を助け起こしながらたけみかづちが愚痴る。 本来洒落にならないはずの状況だが…仮にも神綺は神である。 この程度で大怪我になることはない。 そもそも飛んで飾り付けをすればいいはずなのだが… 「…相変わらずですね、あの2人は…」 「何だかんだで仲いいんだけどな、助け起こしてるし」 その横で作業しているのはすきまと夢子。 2人とも屋敷に仕えるものだけあり、非常に手際が良い。 「はくどうー、これはどっち?」 「ああ、それは左上…そう、そっちの端っこだ」 「ほくどう、これは?」 「それは右横の窓の中央、5cmくらい上」 細かいところの飾り付けをしているのははくどうとユキマイ姉妹。 はくどうの職業柄だろうか、指示がやけに細かいがユキとマイは簡単にそれをこなして行く。 「しかし、神綺様がいきなりやろうって言いだすんだもんねー」 「あのひと、楽しいこと好きだから」 飾り付けを続けつつ語り合う姉妹。 「まあ…いいんじゃないかな?塞ぎこんでるよりはよっぽど」 向こうで寸劇を繰り返してる2人を見ながらはくどうには少し思うこともあるのだろうか。 「(あの人も謎ですね…)」 すきまもそうだが、はくどうも魔界かどうかはわからない。 どこからともなく魔界に住み着いた2人。 2人とも夢子と同時期にはここ、魔界にすんでいるが…いまだに素性は謎である。 「(でも、まあ…)」 「はくどう兄ちゃん! これはどっち!」 「それは…ああ、私がやろうか、細かいところだしね」 「これは…こっちかな?」 「夢子、ちょっとそっち抑えててくれないか?」 「判りました、ちょっと待ってください(そんなことは、どうでもいいですか)」 一人、納得すると、夢子は作業へと戻っていった。 紅魔湖 「さて、と。 あの白黒がいろいろ言いまわっていたようだけど」 「折角だし、ご同伴に預かるといんじゃないかい?」 ちらほらいる妖精とともにいるのは冬の妖怪、レティ。 その隣にいるのは通称14Z。 実は本名を誰も知らない、とか言う噂である。 「あなた、本当に遊び人ねえ、ほんとに冬以外は働き者なのかしら?」 「あ、それはほんとですよ、見たことあります」 「そうですね、彼の畑は収穫量も質もいいと評判ですよ」 レティの疑問に大妖精と風峰が答える。 「14Zはすごいんだぞー、いっつも畑があおあおとしてるんだ!」 「チルノは嫌いじゃないけど、農繁期だけはちょっと畑に行くのは遠慮してもらえるかな?」 「だーいじょうぶ! あたい、天才だから約束ちゃんと守るもん!」 そもそももともとチルノは畑のほうに出向いたりはあまりしないのだが。 「それで、行くにしてもなにをもって行くんですか?」 「ん? 大丈夫、秋までに作った蓄えは大量にあるから」 「僕は養殖した食材を…」 「私たちはどうしよう…」 「あなたたちは大丈夫でしょ、妖精はあまり食べないでしょうし」 「でも…」 「気になるなら、給仕とか手伝っておけばいいんじゃない?」 「それに、僕の分の魚は大ちゃんにも手伝ってもらったものだしね。半分は君のもの、ダメかな」 「は、はい…」 まだ恐縮しつつも、大妖精も納得したようだ。 「さて、まだ時間はあるし、いまのうちにもって行く魚を取っておこうか」 「はい、わかりました!」 そういうと、おのおの、持って行くものを揃えに散っていった。 紅魔館 「さて、咲夜。お酒の用意はいいかしら?」 「はい、ワインを中心に、美鈴と熊猫に持たせてあります しかし、ワイン中心でよろしかったのでしょうか」 「いいのよ、みんなこの手のお酒はあまり持ってこないしね」 お酒のタルを軽く担いでいる美鈴と熊猫を見ながら咲夜がレミリアに問う レミリアは当たり前のように淀みなくそれに答えた。 「しかし、あまり慣れていないのでは」 「たまにはいいわよ、珍しいものも、ね 生きるのには変化も必要よ?」 「はあ、それにしても…」 ちらり、と熊猫の隣を見ると 「うぐぅ…重い…」 幽明の岡が樽につぶされかけていた。 「人としてはかなり力があるほうですが…さすがに1樽持って行くのは無理なのでは…」 「あのくらい持って欲しかったんだけど…やっぱり無理かしら?」 ちなみに1バレルなので大体170〜180kgである。 普通はもてない。 「いやあ、でもやっぱり普通は無理なんじゃないでしょうか?」 「そうだな、これを担いでいけるものは多くないと思うぞ」 美鈴と熊猫も同意するが…軽く持ち上げながらでは説得力はない。 「しょうがないわね…」 そういうと、レミリアは岡の上の樽を持ち上げてどける。 見た目は小さくても吸血鬼である。其の力は並の人間をはるかに凌駕する。 「め、面目ないです…」 「…いいわ、もっと岡には別のところで役に立ってもらうから」 「すみませんです…」 呆れたように言うレミリアとぐてーっとしながら答える岡。 「…ああしないと、話す口実を作れないんですよね」 「…不器用な人だ」 …と、言うことらしい。 「とにかく、そろそろ日も暮れるわ さあ、紅魔館の威厳を示しに行きましょうか?」 「はい、判りました」 咲夜が流れるように日傘を差すと、従者たちも其のあとについていくのであった。 冥界 「さー、はりきっていくわよー!」 「年末前の大仕事!」 「早速盛り上げてまいりましょう」 「おういえ!」 「て、テンション高いですね…」 「いつものことです」 騒霊3姉妹に雷音、そして冬月ととど。 パーティにあたってコンサートを依頼されたようで この規模の宴会での仕事は久しぶりなのもあってかなりテンションが上がっているようだ。 「雷音、楽器の調整はどうかしら?」 「ん、問題なし。いつでも演奏できるよ」 「さっすがー、きちっと仕事するわねー」 雷音がもってきた楽器を3人に渡すと早速3人は点検をはじめ… 程なくして、問題のないことを悟ったようだ。 「よく調整されてるわねえ、これなら今日も盛り上げられそうだわ」 「で、今回は一緒にやれ、とはいわないよね…?」 「やりたいなら止めないけど?」 「一緒にやりましょうよー」 「い、いや、やめとくよ…」 「残念ー」 騒霊と音楽家が和気藹々と語り合っている間に、白玉楼の主と其の従者も出てきたようだ。 「妖夢、準備は済んだのか?」 「はい、お土産のほうもこちらに」 「あ、私持ちますよ」 白玉楼従者トリオが包みの準備をする。 「ふふ、皆楽しそうね〜、紫が来ないのがちょっとつまらないけど、仕方ないわね」 親友が来ないことに少し寂しさを感じながらも、 幽々子は増えた従者訪れた騒霊たちで賑やかになった白玉楼を見ながら 「さあ、妖夢、冬月、とど、会場に、行きましょうか?」 「「「はい、幽々子さま」」」 従者たちを宴会の場へと促すのであった。 マヨヒガ 「本当に留守番するのか?」 藍が残る、といったたはなこに問う 「はい、紫様も冬眠中ですし、誰か一応残ったほうがいいでしょう」 「ふむ…そういうなら、留守番を頼もうか」 心は決まっているようで、はっきり答えるたはなこと、考えつつもそれを了承し、家の守りを頼む藍 「らんしゃまー、お留守番、退屈ですよー?」 「橙、ここはたはなこに任せてあげようよ」 藍にすがり付いて訴えかける橙。 だが、同じく思うことがあるのか、もげらがそれを制止した。 「どうしてですかー?」 「あー…うん、うまくいえないけど…その方が彼にはいいから、かな?」 同じくなんとなく察したナイトメア。 言葉にどもりが混ざってしまうのは、其のもげらとの人生経験の差だろうか。 「…本当にいいんですか?」 「ああ、橙は楽しんでくるといいよ」 「じゃあ、たはなこ、紫様を宜しくお願いします」 「はい、命に代えても」 たはなこを覗き込んで問う橙に笑って答えるたはなこ。 そんなたはなこに藍が主のことを頼むと、そこには冗談のような、そしてもしかしたら本気も混ざっているような答えが返ってくる。 「じゃあ、僕たちは行きましょうか?」 「ああ、皆、お土産話をよろしくー」 ひらひらとハンカチを振るたはなこに送り出され、マヨヒガの面子も会場へと入るのであった。 地底のどこか 「…あの人たち、また一緒になって宴会なんてして…妬ましいわ」 「あ、パルスィ、ここにいたのか」 噂を聞きつけて嫉妬するパルスィ。 そこに現れた影は、波風であった。 「あら、波風。まさか貴方まで宴会に呼ばれて…」 「うん、ちょうどよかった」 がし、とパルスィを掴むと、ずるずると引きずるかのように引っ張っていく波風 「ちょ、ちょっと、なにするのよー!」 「いや、パルスィと一緒に参加したいから」 「だ、だからって引っ張らないでよ!」 「えー、だってそうしないと逃げるし」 「わ、わかった、一緒に行く、一緒に行くから話なさーい!」 この勝負、波風のほうに軍配が上がったようである。 博霊神社 「…大分、こっちに来る影があるようね」 「結構いろいろ呼んだからなあ、楽しい宴会になりそうだぜ!」 「酒を飲むには騒がしいほうがいいってね!」 「ちゃんと片付け手伝いなさいよ?」 「「フィータ、任せた!」」 「お前たちもやれよっ!」 夜の帳も降りそうな博霊神社。 少しずつ、いろいろな気配が近づいてくる。 「さて、人形劇の用意もできたわ。あとは騒霊の3姉妹と合わせるだけかしら」 「会場の設営も終わったし、あとは待つばかり」 「じゃ、私は来た人を迎えに行って来るぜ!」 人形劇の準備を終えたアリスに設営の確認を終えた萃香。 参加者を迎えに行った魔理沙。 「…ま、これが平和ってことなのかしらね」 其の後ろで、霊夢がぼそり、と呟いた。 宴の始まりは、もう、近い。 あとがき うん、突発でかくものではなかった、書いてて楽しかったが量が多いw 大体24日のある程度の時間までにチャットにきた人+αくらいで書きました。 無許可だけどな!…ぼめんね。 でていない人や扱いの悪い人もごめんなさい、作者の力不足です。 私が出てないって? はて、どこにいるのやら。 里の物見やぐらのほうに猫が寒そうに丸まっているのなら見ましたが。 by永久